コラム

プレーオフ8ホール目で決着!新海美優が激闘を制し初V

2022ステップ・アップ・ツアー第16戦『山口周南レディースカップ』のファイナルラウンドが、山口県の周南カントリー倶楽部(6,542Yards Par72)を舞台に行われた。

3日間54ホールを戦い終えて、通算2アンダーで首位タイに並んだのは新海美優と藤田光里の2人。8ホールにも及ぶ激闘の末、新海が勝利を手にした。
この日会場の詰めかけたギャラリーは1,360人。その多くが最後まで2人の戦いを見届けるためにコースに残っていた。最後は藤田がパーセーブできず、新海が短いパーパットをカップインさせて激闘に終止符を打った。
なおプレーオフ8ホールという記録はステップ・アップ・ツアーだけでなく、レギュラーツアーを含めて最長記録となった。


新海美優 2日後は27歳の誕生日。人生最高のバースデープレゼントを自らの手で!

2アンダー首位タイからスタートした新海美優。同組の藤田光里とエイミー・コガの2人が序盤でバーディを奪い、好スタートを切る中で、新海のスコアが最初に動いたのは5番ホールでのボギーだった。優勝争いから一歩後退する形になったが、それで気後れすることはなかった。
「実は昨日のラウンド後に、宮澤美咲ちゃんから『どうやったら2アンダーで回れるんですか?』って聞かれたんです。彼女が初優勝した試合で私は一緒の組だったんですけど、本当にすごくいいプレーをするので、逆に最終日のどうしたらあんなに落ち着いたいいプレーができるの?って聞いたんです。そうしたら『ボギーを打っても、それが起爆剤になるので、おはようバーディよりも、ボギーのほうが私は良かったりするんです』ということを聞いて、それで私も今日はどんなボギーを打っても縁起物だと思って頑張るねっていう話をしたんです」。

そんな会話があったからか、最初にボギーがきても新海に焦りは全くなかった。後半に入り、14番、15番で連続バーディを奪いトップの藤田を猛追し、プレーオフに持ち込んだ。
2017年にシードを獲得し、2018年はレギュラーツアーで戦ったものの、思うような成績を残せずにシード陥落。その後もレギュラーツアー復帰に向けて努力し続けていたが、昨年の夏頃に背中を痛めて、8月以降は試合に出られるのにパスし続けるという精神的にも辛い時間を過ごすことになる。その怪我の影響でQTでも振るわず、今季のステップ・アップ・ツアーも全ての試合に出場できるわけではなく、今回の優勝がなければ来週の最終戦にも出場できない状況だった。 この優勝で来年のステップ・アップ・ツアーへの出場資格や、ファイナルQTへの出場資格、そして来週の最終戦と様々なものを得ることになったが、何よりもこの試合に勝ちにきて、そこで勝てたことで得た自信ほど大きなものはない。
「私はこのコースが本当に好きで、このコースで開催されるなら私にもチャンスがあるかもと思い、勝ちにきた試合でした。その試合で勝てたことが本当に嬉しく思っています。ギャラリー含め遅くまで残っていただいた皆さんに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。選手のみんなとも、この大会は本当に選手にやさしい大会だねと話していました。この優勝を糧に、さらに頑張りたいと思います。ありがとうございました」。
過去にこのコースでプレーした経験があり、隅々までコースの攻略ポイントが頭に入っていた新海。さらに2日後に27歳の誕生日を迎えるなど、この勝ちは運命的なものだったのかもしれない。この優勝を機に更なる高みを目指してもらいたい。


日没ギリギリの決着!8ホールの激闘を戦い切った藤田光里は悔しさの中にも手応えを感じた

藤田光里は目標としていたファイナルQTへの出場資格は、あと少しで手が届かなかった。
「悔しいですね。本当に疲れました。でも、楽しかったです。プレーオフはどちらかというと私は我慢する感じだったので、その中でいいアプローチや長いパットを入れることができたので、所々では頑張れたのかなと思います。でもその前の18ホールでなんとかしなくちゃダメでしたね」。

プレーオフでは何度となくピンチがあったが、神がかり的なパットを決めるなど、しぶとくプレーしていた藤田だが、最後はパーパットを決めきれずに力尽きる形となった。
激闘の結果がボギーで決着したことが悔やまれると振り返る藤田だが、気持ちを切り替えて来週はレギュラーツアーに挑む。来週の試合ではその後に控えるQTがあるためコーチがキャディを務めて、最終チェックを行うとのこと。
今回のプレーオフの激闘で何を得ることができたのか。その答えは来週の藤田の戦いぶりから感じ取ることができるだろう。


篠崎愛はベストスコア賞を獲得!来週の最終戦で逆転での賞金ランキング2位を狙う

最終日、藤崎愛が5バーディ、1ボギーの4アンダー68でラウンドし、ベストスコア賞30万円を獲得した。賞金ランキング3位の篠崎は、今週の成績で2位の宮澤美咲との差を少し詰めたものの、逆転で2位のポジションを獲得するには来週は優勝に近い結果が求められる。 「ベストスコア賞の存在を知らなかったんですが、さっき聞いて嬉しいです。初日は悪くはなかったんですけど、不運もあって叩いてしまって。でも最終的にこうやって順位を上げることができてよかったと思います」。 先週の初優勝からいい流れは続いているようで、来週の最終戦で賞金ランキング2を獲得し、来季のレギュラーツアー前半戦の出場資格を得られるかどうか。いよいよ最後の勝負だ。