コラム

JLPGAステップ・アップ・ツアーに新たな歴史がスタートする!

2022ステップ・アップ・ツアー第16戦『山口周南レディースカップ』が、11月10日(木)〜12日(土)の3日間の日程で、山口県の周南カントリー倶楽部(6,542Yards Par72)を舞台に開催される。

『山口周南レディースカップ』は今年から始まる新規大会で、ツアー終盤戦の鍵を握る重要な大会として位置付けられている。 開幕を明日に控えたこの日はプロアマ大会が開催され、プロ36名を含む全144名が秋晴れの中、色づきはじめた木々を眺めながら周南カントリー倶楽部を堪能した。

舞台となる周南カントリー倶楽部は昭和41年に開場。100万平方メートルの広大な土地にダイナミックに18ホールが展開している。設計は生涯24コースを設計した福井八十八氏。福井氏は日本におけるプロゴルファー第1号の福井覚治の家系で、特に中国地方での設計数が多く、周南カントリー倶楽部を含め12コースを数える。 コース内の高低差は20メートルほどあるが、適度なアップダウンが戦略性を高めている。また、グリーンは2グリーンで、各グリーンが小さく、さらに傾斜も強い。今週はコンパクションの数値が高く、グリーンがかなりいい状態に仕上がっていることもあり、ショットだけでなく、アプローチの難度がかなり高いとの声が多くのプロから聞かれた。


賞金王・櫻井心那は今週がステップ・アップ・ツアー最終戦

先週行われたステップ・アップ・ツアー第15戦『宍戸ヒルズレディース森ビルカップ』で12位タイに入ったことで、今季の賞金王を確定させた櫻井心那。今季は5勝と言う驚異的な成績を残し、他を圧倒した。
来週はJLPGAツアー『大王製紙エリエールレディスオープン』に出場予定のため、今週がステップ・アップ・ツアーでの最終戦ということになる。
「これで来年はツアーの前半戦に出場できることになりましたが、これが最後のステップになるので、絶対に帰ってこないぞ!と言う強い気持ちでのぞみたいと思います。だから優勝したい気持ちが強いです」。
賞金女王として、今季ステップ・アップ・ツアー最後の試合をどう締めくくるのか、注目したい。


賞金ランキング2位の宮澤美咲が目指すのは“いつもより抑え目の攻め”

賞金ランキング2位の宮澤美咲。残り2戦、2位を死守したいのが本音だが、それを意識しすぎることで、自分のゴルフができなくなることも警戒している。
「ここはグリーンの傾斜も強いので、まず乗せることが大事になるですが、乗せるにしてもピンの手前に乗せなければならないんです。いつもはあまり考えずにパッと打っちゃうタイプなので、少し考えて慎重に攻めたいですね」。
宮澤の持ち味は強気な攻めだ。いつもなら少々ピンの上についても上手く下りのパットに対応できていたが、今週のグリーンはそうはいかない様子。試合が進めば、自ずと順位が気になり、緊張もするはず。その中でいかに自分をコントロールするかが勝敗の鍵を握る。
賞金ランキング2位までに与えられる来季のツアー前半戦の出場資格獲得のために、今週の宮澤は自分との戦いになりそうだ。


先週優勝の篠崎愛が目指すのは新たなステージ

出場資格の無かった先週の『宍戸ヒルズレディース森ビルカップ』で、推薦出場から見事優勝を飾った篠崎愛。嬉しい初優勝を手にしただけでなく、賞金ランキング3位になり、来季の前半戦の出場権が与えられる2位も射程圏内に入ってきた。
「せっかくつかんだチャンスなので、残り2戦でもうちょっと頑張れればと。優勝したことに関しては、思っていたほど心境的な変化はないんです。今季はトップ10に入れていたので、やっと勝てたと言う気持ちが強くて、言い換えれば優勝できると思いながらやっていました」。
優勝できる手応えがあるほど、今季の篠崎のゴルフには安定感がある。その中でも何故か勝てない試合が続き、やっと勝ち方がわかったと篠崎は振り返る。
「今までは初日が良くて、2日目以降でどうしても優勝を意識しすぎていた部分があったように思います。先週の試合では途中ボードを見ずに、優勝争いをしている気持ちじゃない中で勝てたので、今度は優勝を意識した上で勝てればと思っています」。
一度勝ち方を知り、それをまた実践しようとせずに、また違った自分と向き合おうとしている点に篠崎のスケールの大きさを感じた。今週は未知なる自分との戦いになるが、それも優勝したからこそのご褒美なのだ。


快進撃が続く西山ゆかりが逆転での2位獲得を狙う

直近3試合のステップ・アップ・ツアーで2位、2位タイ、2位という快進撃を見せているのが西山ゆかりだ。
ツアー2勝の実績がありながら、2018年にシードを喪失。それ以降はステップ・アップ・ツアーを主戦場としてきた。いいフィーリングなのに、試合になると結果が出ない。スイング面でもクラブの面でも試行錯誤してきたが、ようやく復調の兆しが見え始めた。
「(今季は)まずはトップ10ということを目標にしていました。芹澤プロともそれを目標にと話しをしてやってきて、それがやっと見えてきたので、今度は2位というものを新しい目標にしたいと思えています」。
シーズン終盤になっての好成績に、西山はただただ師匠である芹澤から言われたことをやり続けてきただけだと話す。
師匠である芹澤信雄からは、とにかく回転するようにと言われ続けてきた。「何万回言わせるんだよ」(芹澤)と言われながらも、「諦めずに何万回も言い続けてくれました」と西山は師匠への感謝を述べるが、本当の恩返しは今週を含めた残り2戦を戦い切ってからだ。2018年以来のツアー出場権獲得に向けた戦いがいよいよ始まる。