2024ステップ・アップ・ツアー第20戦『山口周南レディースカップ』の大会最終日が、山口県の周南カントリー倶楽部(6,558Yards
Par72)を舞台に行われた。
秋らしい爽やかな好天に恵まれた大会最終日。首位とは4打差の12位タイからスタートした高橋しずくが、この日のベストスコアタイとなる4アンダー68でラウンド。通算3アンダーとして逆転で嬉しいプロ初優勝を手にした。
単独首位でスタートした吉澤柚月は2オーバー74とスコアを落とし通算1アンダーの2位タイで3日間の大会を終えている。
なお、通算1アンダーの2位タイには吉澤のほか、吉田弓美子、セキ
ユウティン、山城奈々が入った。
2022年のプロテストに合格して、今年は実質2年目のシーズンを送っている高橋しずく。1年目はガラッと変わった環境に慣れることで精一杯で、自分が思ったようなゴルフができなかった。そんな反省も活かして臨んだ2年目のシーズンでの目標は『優勝』の2文字。高橋にとって今週が最終戦だっただけに、最後の最後で目標を達成することができた。
「本当に夢のように嬉しいです。こんなに嬉しいことがあるんだって思うくらい嬉しいです」。
プレースタイル的に飛距離が出るほうではないので、ショートゲームで組み立てて粘るゴルフが高橋の持ち味だ。舞台が難しい周南カントリー倶楽部だからこそ、4打差で迎えた最終日もチャンスがあると思っていた。
高橋は出だしから3連続バーディでスタートする。7番ホールでティショットを曲げてこの日初めてのボギーを叩くが、高橋に焦りはなかった。というのも、最終日は意図的にスコアボードを見ずにプレーすると決めていた。要するに自分のプレーに徹するということだ。
「2日目にダブルボギーを打ったんですが、そのホールの前にスコアボードを見ちゃって、それでスコアを落としてしまったので今日は見ずに行こうと決めていました」。
後半に入っても持ち味の粘り強さを発揮した高橋。そして迎えた17番パー3。ピンまでの距離は180ヤードで、持ったクラブは3番ユーティリティ。
「17番は苦手なホールだったんですけど、バーディを獲ることができて、結果的にあのホールが勝負の分かれ目になりました」。
奥につけるとノーチャンスと言われるほど周南カントリー倶楽部のグリーンは手前から攻めなければならないホールが多い。17番ホールもそのうちの一つだが、奥につけたにも関わらず高橋は捩じ込んだ。このパットが結果的に優勝を呼び込むウィニングパットとなった。
次週の最終戦にはエントリーをしておらず、来たるQTに備えるという。約2週間の時間があるが、今回の優勝でいい流れでQTにのぞむことができるのは何よりも大きなことだ。
優勝すれば文句なしで明治安田ステップランキング1位を確定させることができた権藤可恋。首位と1打差で迎えた大会最終日はもちろん頂点を狙ってスタートした。
「今は今日のラウンドがただただ悔しいだけです。ただ、これまでも悔しい思いをして色んなことを学んできたので、まだ来週もありますし、来年にも向けてしっかり頑張っていきなさいということだと思うので、またしっかり練習して頑張りたいと思います」。
最終ホールを迎えた段階では1アンダーの2位タイグループにいた権藤だが、最終ホールはまさかのダブルボギー。権藤曰く、最終ホールのバーディで単独2位に入れば1位を確定できるかもしれないという思いがあったと言う。
2オンに成功したものの、ファーストパットはグリーンをこぼれてしまった。もちろん厳しいピン位置を覚悟の上で攻めたわけだが、結果的に課題が残る締めくくりとなった。
ただ、2位以内を確定させたことで、ある意味で気持ちよく来週のJLPGAツアーにのぞむことができる。これまでも自分に課題を課しながら成長してきた権藤なだけに、来年は更なる成長に期待したい。
最終日を単独首位で迎えた吉澤柚月だったが、最後は粘ることができず初優勝はお預けとなった。
「前半は良かったんですが、後半は12番でダブルボギーを打ってしまって。焦りはなかったんですが、そこから難しいホールが続いたので。やっぱり16番、17番でのティショットのミスが痛かったですね」。
優勝への緊張はそれほどなかったと言う吉澤だが、それでもホールが進むにつれて、スコアを落とせないという気持ちが無意識に働き、それがショットに影響を及ぼした。
吉澤にとって今週が今シーズンの最終戦になるわけで、願わくば優勝という形で締めくくりたかったが、それは叶わなかった。ただ、この後に控えるQTに向けて、課題が見つかったことも事実で、言い方を変えれば収穫もあった。
「来年の前半戦の出場資格はとりたいので、そこに向けてすごくいい経験になったと思うので、またしっかり練習して頑張りたいと思います」。
ルーキーVの夢は叶わなかったが、近い将来、必ず優勝カップを掲げる日が訪れるだろう。そんな予感をさせる3日間の戦いぶりだった。